僕の仕事は風俗嬢

自分の仕事の性質を見ると、「風俗」に近いものがある。

  • 時間(または内容)によって料金が決まる
  • 延長すると延長料金
  • 遠方対応は出張料
  • オプション作業をすると追加料金
  • お客様に満足していただけると、リピート指名が入る(指名料不要ww)
  • お客様側の事情で、作業が完了できないこともある

重要なのは自分の技術を売っていること。そしてその計算方法が単純な時給ではないということだ。基本は1件いくらでやっている仕事だ。技術がないとその仕事すら来ない。その点でも風俗と同じだ。

だけど、最終的に行き着くところは、これも下請けの「貰い仕事」。貰い仕事だけをやっていると、最後は自分の限界が見えてくる。つまり、どれだけ自分の時間を切り売りできたか、ただその1点にかかってくる。

ここの所、「拘束時間」に泣かされることが多い。

昨日の出張だって、往復の費用(実費+拘束時間給)こそは支給されたけど、肝心な昼間の拘束時間は全く支給されない。やった仕事に応じて支払われるだけだ。

お客様の問題で、変に拘束時間を食われても同様だ。やはりその費用は誰も払ってくれない。

カメラマンをやっていて一番嫌だったのは、「外式」だ。外式の場合、通常よりも1時間拘束時間が長くなる。しかも自分の車で移動も発生する。手間も増えるのに、実際にはその費用は1円だって払われない(でも元請けさんは出張料を請求している。でも中間の人に1円も落ちていない以上は、こちらも請求できないし)さらに、県外対応や自宅撮影なんてしようものなら大赤字だ・・・。

そのお金にならない時間がもったいない。グロスで考えれば泣くべきところなんだけど、そうも言ってられない。

逆にグロスで考えてた部分を、ネットにさせられるケースもあるからだ。最近あったのは納期の短縮。グロスで取れた作業時間を、ネットで取らなきゃいけなくなると、その分拘束される時間が増えるのだ。暇ならいいけど、忙しい時なら泣きたくなる。だから「一区切り」つけた。

貰い仕事をしているうちは、時給労働者だ。広義で言えば、正社員だって時給労働者。時給が日給になろうと、月給になろうとそこは変わらない。

目指すところは風俗嬢じゃない。時間を売っているうちはまだまだ遠い。

一区切り

今日の仕事で一つの区切りがついた。

というか、来月からの仕事を原則お断りする方向になった。原則というのはお知り合いを除いてという意味だ。

長いようで短い4年弱だった。今まで散々ご迷惑をおかけしたこともあったし、学ぶことも多かった。でも、面白い仕事だと思ったし、今では生活にメリハリを持たせる意味でも非常に有意義な仕事だった。そして、この仕事で覚えたスキルは今の仕事の基盤にもなっている。

理由は単純だ。会社の提示する「仕様」を満たせないからだ。

現場の人間が悪いわけじゃないということは分かっているし、誰一人恨んでもいないし、怒ってもいない。感謝しかない。だけど、。会社員である以上は上司の指示は絶対だ。どんなに不条理だろうが、馬鹿らしいことだろうが従う以外の選択肢がない。残酷な世界だ。嫌なら辞めるしかない。

だけど、クライアントは変わってもこの仕事は続けたいと思った。それは、今のパソコン設定の仕事もそうだったけど、それと同じくらいに続けたいと思ったのだ。

最終的には戻りたいとも思っているし、またあの素敵なメンバーと仕事をしたいとも思っている。他の会場に入った時に感じる不安がないだけでも、ストレスが少ないし、何よりも地域一番店と仕事をできるチャンスは全員にあるわけじゃない。

数週間考えて、一旦は別のクライアントを探すことにはしている。1件はトライアル確定だし、別のところも目下交渉中だ。それでも驚いたのが、意外にも応援してくれる人の多いことだ。もちろん、ライバルが減るのは望ましいことだ。でも、応援してくれたのはライバルではない。全く別の人たちだった。ビデオの人たちだ。ビデオさんとは、どうしても欲しい画がかぶってしまって、ポジションの取り合いになることも少なくない。そんな「厄介者」を応援してくれるのが嬉しかった。同時に自分の軌跡が間違ってなかったことも自信が持てた。ちゃんと評価してくれる人はいる、と。

だから、決してゴールだとも思っていないし、またここに戻ってきたいと思っている。でも、今はチャンスを待つタイミングだ。チャンスを待つこと、呼び寄せること、作ること。それがこの4年間で覚えた撮影の面白さだ。シャッターチャンスは、偶然ではない。自ら呼び寄せるものだ。それは人生のチャンスも同じだと思う。

そして、チャンスは「chance」。フランス語だと「幸運」という意味だ。受け売りだけどね。

売上比率は1/3まで

一般で言われることだけど、売上構成で特定の取引先が1/3を超えるとマズイという話。

今までは「相手から契約切られたり、相手が倒産したら共倒れだもんね」と、受動的なリスクを回避する話として聞いてきたし、実際のところもそれで正解。

でも、最近思うのは、この1/3ってラインは、悪循環に入らないために、攻めの決断ができるラインだということに気付いた。もし仮に売り上げの半分を依存してしまうと、相手の取引条件に合わせて取引するしかなくなる。取引しないということになると、売り上げが半減してしまうからだ。売上が下がると生活が維持できないから、相手の言いなりになるしかないのだ。そうなると、貧乏暇なし状態になってしまう。悪循環から抜け出すことができずに、単価が下がったり、工数が増えても文句は言えない。その仕事をこなさないと収入がなくなるから、目の前の仕事をこなすことに全力になるけど、一向に楽にならない。そして契約を切られた瞬間に共倒れになっていく。

それがもし売り上げの1/3までだったら(もちろん全体での売り上げももあるけど)、最悪なくなっても何とかなる。だから、取引先に「NO」が言えるのだ。

こんな話をしたのはほかでもない。取引先に「NO」を伝えたからだ。今までは仕事の基準は「面白いと思った仕事」や「やりたい仕事」を請けてきた。というかこれからもそうだ。でも昨年の11月に無理をし過ぎてダウンした経験から言えることは、ゴーイングコンサーンという考え方から言えば、ダウンしすぎない程度に仕事をセーブすることも大切だということだ。

出来ないことや、無理な仕事は受けない。もちろん、「踏ん張りどころ」はあるんだけど、それを毎週やるべきじゃないという考え方だ。毎週イレギュラーなんて異常事態は作るべきじゃない。

だから、仕事を全部蹴った。いろいろ話し合ったけど、一年はこのままでも問題ないとも答えた。というか・・・一年もこのままだと、確実に別の仕事を見つけている(笑)なによりも直接取引できるお客様が増えた方が自分にとってはプラスだし。