今日は、金沢大学医学部附属病院 精神科神経科の最後の通院でした。
昨年12月から私は、この病院の棟居先生のもとへ数度に渡り通っていました。
その理由は、発達障害の診断。
目的は診断名をつけてもらうことではなく、自分の強み・弱みを知りたいと思ったのがきっかけでした。
MRIや脳波やAQ(自閉度)やSQ(システム化指数)やEQ(共感指数)などのテストを受けてきました。また、小児と異なり、一般的なIQテストで動作性IQや言語性IQを調べることが難しい(対照群がない)ので、親からの発育歴のヒアリングもありました。
(これは、個人的はものすごく申し訳ない思いがした。3人目の障害児の親にしてしまうことになるのだから…)
その結果が本日告げられました。
結果は「グレー」
自閉症スペクトラムの概念で白とか黒とかはあり得ないのですが「グレー」
ただし、広汎性発達障害や不定形の発達障害に該当する「しきい値」には達していないとのことでした。
健常者よりもしきい値に近い所にはいるようです。
恐らく(どれが、どれに該当するか聞いたけど教えてくれなかった)……共感指数は平均点。だけど、システム化指数と自閉度は平均群より高い。(しかも、どちらかは突出して高いらしい)
MRIには異常はないが、脳波の中にてんかんの患者さんに見られるパターンの脳波が出ているらしいです。(ただし健常者(と言うか「てんかん患者じゃ無い人」)にもその脳波が出ることがあるとのこと。でも完全に意識を失うだけが「てんかん」じゃ無いからなぁ…微妙)
結果的に「グレー」は予想されていた結果なのですが、なによりも困り感を持っているのか、そして最後は発育歴の善し悪しだったようです。(うちの母親の場合、健常児との比較が出来ない分、発達歴が良いか悪いかの指標が無いって言うこともあると思うのですが…)
さて、そんなこんなで、「グレー」との結果でしたが、
この数ヶ月、本当に良かったことが沢山あります。
それは、自分の強み・弱みが分かって来たこと。
自分の認知の傾向、得意なやり方、得意な分野が分かって来たことです。
昨日の五箇山でのワークショップの際に、「自閉症とは?」と言うビデオの中で、
聴覚過敏の方の音の聞こえ方を再現していました。
自分はまさしくこの聴覚過敏の聞こえ方をしています。
具体的には「カクテルパーティー効果」という現象です。
無数に存在する音から、「必要な音を抽出する能力」。
これがありません。
これは、弱点でしょうか?
これ、考え方によってはとんでもない武器になります。
以前、音響の仕事をしていた時には、カクテルパーティー効果を折り込んでミックスをしていました。
バランスを調整する時に、「自分の調整している音に集中しているから、少し抑えたくらいがちょうど良い」と思っていました。
ですが、今から考えると、ゴーイングマイウェイで良かったわけです。この武器を持っている私の場合、普通にやってれば、音を集中して聞くことが出来ないので、普通にバランス取れちゃうのです。
それに気付いていないが為に、逆効果でした。
発達障害の当事者の岡南さんによると、健常者においても、視覚優位と聴覚優位の2つの認知があるとのことでした。これは目で見た方が理解しやすいのか、耳で聞いた方が理解しやすいのかということです。
岡南さんの「天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル」という本で、ガウディの成績について触れていまいた。
岡氏は、ガウディは視覚優位だったと考えているようです。そして、この視覚優位の特徴として、全体を見ることや、同時に見ることが得意で、空間認知に優れます。
一方の聴覚優位の場合、部分を見ることや、順番を見ることが得意て、時間認知に優れます。
どうも様々な情報から考えるに、自分は聴覚優位だと思います。
これは多分数学で考えると分かりやすいと思います。
自分は代数が得意ですが、幾何学は死ぬほど苦手です。
多分、周囲は「苦手」だと気付いていなかったと思います。
これも解答法がパターン化されているので、既知のパターンとマッチしたものは簡単に解けるからです。だから、今でも幾何学はよく判っていません。
規則性の問題の解答法も数字の並びで回答していたタイプです。
数字を見れば、規則性が分かるのです。
でも、その元の問題である「図形」を認知することが得意では無いので、その図形を元に規則性を理解する作業は苦手です。
そして、同時に処理出来る数は恐ろしく少ないです。
多分、他の方よりもワーキングメモリが小さいので、同時に出来ないんです。
ただし、回転は速いのでそこで処理能力をカバーしています。
ただし、これらの特性に中学校の時に気付くことは有りませんでした。
なぜならどの教科でもちゃんと点数が取れているから。
点数が取れているから、その中間工程の「おかしさ」に周りが気付いていなかったのが大きいと思います。
数学のテストと言っても、幾何学も有れば代数もあります。(同じテストで)
確かに幾何学だけみれば有意に苦手と言う結果が出たと思いますが、それも代数の点数や、先のパターンで平均点以上取れていたのです。
音に関連づけて記憶するのは得意だったので、英語は得意な教科でした。音とスペルを併せて記憶出来るので、単語を覚えるのに苦労した記憶はありません。
でも視覚頼りになる問題(社会で写真を見て人物を答える問題とか、県の形とか、空間処理の能力が必要な地学(特に天文)とか)が、相当苦しかった。
まあ、こうした自分の特性をちゃんと知れば、対策も打てます。
テストの点数(=学力)が平均よりも大分低ければ、その他の発育歴も併せて、今の学校教育でも特別支援教育の対象になると思います。でも、現状平均点以上の場合にはなかなかこうした支援が届かないと思います。
ましてや、本来こうした教科を細かく分析して、「強み」「弱み」をちゃんとデータ化して、それを踏まえて必要な支援や、あるいは進路についての情報を学校が行うべきだと思うのです。これを行わないと、企業以前に、大学のミスマッチが生じる原因になると思います。また、こうしたミスマッチを生じさせることは、個人にとっても、社会にとっても生産性を下げることに繋がると思います。
こうした、「強み」「弱み」の分析を、キャリア形成に取り込むことは行われていますが、タイミングが遅すぎるのです。
私の考え方
ですが、「弱み」を補うことはやはり「生産性を下げる」だけだと思います。人よりもその能力を会得するのに時間がかかる。労力もいる。その労力は必要か?
一方で「強み」を磨くことにはなかなか至りません。
これからは「強み」を磨く社会にしませんか?
客観的に見れば「良いところ」を見る社会と言うべきか。
成長のあった4ヶ月でした。