堀江貴文 成毛 眞
朝日新聞出版
売り上げランキング: 109054
ご存知、ライブドアの元社長 堀江貴文氏と、マイクロソフトの日本法人元社長の成毛眞氏の対談本。
まず、この本に共感したのは、「日本人は科学に弱い」ということ。
大学生の内、社会科学系(経済学など)・人文科学系が、約184万人に対して、工学・理学系は約52万人。
儲けたいとか、成功したいとかでは無く、例えば経済の発展にも、人文科学の発展にも、科学が不可欠なのに、科学に弱いということです。
自分が共感したのはこの後で、マスコミには(所謂、)文系が多くニュースや新聞記事が無茶苦茶で、科学を扱った記事も少ないと言うことです。確かに新聞記事を見渡してもスポーツ面やら芸能面に比べて、科学は扱いが小さい。
そして、いつもテレビを見ていて思うのですが、科学的な部分の表記・表現は無茶苦茶です。
例えば原発事故の時も当初はmSvとμSvが混在して、さらに、時間も、「時間(/h)」なのか「年(/year)」なのかが混在。
見ている側にとっては、「どれだけ危ないのか」を判断するのに電卓を叩いていました(ん?我が家だけの話か?ちなみに、私の家族は理系家族なのです…)
自分がテレビで気になるのは、この辺の単位系の間違いです。あるいは、単位系をきちんと表記していないというのも多いです。
あるいは良く有る言い間違い「パラジクロロベンゼン」どこで切って読んでいるんですか?と聞きたくなります。
パラジクロロベンゼンなんて、高校生でも知っているメジャーな物質です。
テレビ局の記者は高校生程度の科学知識も無いのか?とツッコミたくなります。
この本では本当に色々なことに触れています。
例えば宇宙旅行やロケット開発、生命科学、ITなど「どれだけ守備範囲が広いんだよ?」と思ってしまいます。
だけど、考えてみれば著者はその道の研究者やエンジニアではありません。
むしろビジネスとして、これらを捉えているのです。
例えばロケット開発。
民間でロケットを開発する意味なんてあるの?と問いたくなります。
しかも、ロケットって一基何十億円するんでしょ?とも。
でも堀江氏が目指してるのはDIYロケット。言い換えるならホームセンターロケットなんです。
ホームセンターで売っている部品で(半ばDIYの様なノリで)作っている。
コストを1基、1000万円程度にしようと目論んでいます。
分析機器も誠にユニーク。カシオのEX-F1という1200fps(フレーム=枚/秒)で撮影出来るデジタルカメラとか(もちろん、ちゃんとしたのも有るだろうけどね)
分析機器としては実売6万円は安い。
そして、JAXAが最新技術をふんだんに盛り込んでロケット作りに苦心している一方、特許の切れた技術を使って安価に開発を進めるところもなかなか面白い。
(実は製造の現場でも最新の機械を導入してもすぐに上手く動くわけではなく、カタログスペックを満たす為に半年掛かりなんてことはざら。現実問題として、慣れた機械をブラッシュアップして行く方がノウハウ上も簡単なことは多いです=生産性の問題は別として)
何よりも面白かったのは、このロケット作りをオープンソースにするというアイディア。
オープンソースにして、いろんな人が開発に参加出来る環境を作る。
(ご本人も言われていましたが、「ミサイル技術」を公開したら大変なことになる。多分国からストップがかかるので、閉鎖的なオープンソースにするとも書かれていました)
こうして見ると「科学」ってロマンがありませんか?